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第181回 「第4次産業革命」時代に必要なこと
「週刊エコノミスト」(毎日新聞社刊)で、
日本総合研究所会長:寺島実郎氏は、
今の金融市場についてこう分析しています。
「20世紀はセブンシスターズ
(7つのオイルメジャー〈国際石油資本〉)が
牛耳った石油の時代でした。
21世紀に入り、それがGAFA
(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)
+M(マイクロソフト)、中国のテンセント、00
アリババというデジタル・エコノミーを
けん引する米中巨大IT企業に置き換わりました。
これを世界は「ニューセブンシスターズ」と
呼んでいます。
ニューセブンシスターズの株式時価総額は、
実に5.1兆ドル(約576兆円)と
日本のGDPに相当する規模にまで増大しました。
一方で、日本企業の時価総額トップの
トヨタ自動車の時価総額はわずか23.2兆円と、
アップルやアマゾン1社の4分の1に過ぎません。
日本の時価総額トップ5の合計でも66.0兆円と、
ニューセブンシスターズの約1割にとどまります。
(いずれも時価総額は2018年99月末時点)
時価総額は市場の一つの評価に過ぎないのですが、
企業経営の観点から時価総額以上のリスクは
取れません。
大規模なプロジェクトも組めないという点で、
企業の競争力で格差が拡大する要因です。
デジタル・エコノミーの時代に
日本企業はまるで対応できていません。
21世紀を支配するニューセブンシスターズは
「プラットフォーマーズ」と呼ばれます。
ネットワーク情報技術の基盤インフラをおさえる
企業群に対する呼称です。
20世紀のセブンシスターズとの違いは、
中国企業2社が入っていることです。
デジタルネットワークを支える
クラウド・ビッグデータにつながっており、
相互依存は切り離すことができません。
トランプ大統領は、
台頭する中国のデジタル技術に対するおびえ、
つまりネットワークから切り離せない脅威から、
知的財産権の侵害などと理由をつけて
貿易戦争を加速させました。
プラットフォーマーズと呼ばれる
IT7社の時価総額の巨大化は、
特別な技術優位から生まれたものではなく、
「ITとFT(ファイナンシャル・テクノロジー)の結婚」、
つまり金融機能による増幅という形で実現しています。
ITは
「いつでも、どこでも、誰でも使える技術基盤」
です。
それをデータリズムとして囲い込むビジネスモデルに
ファンド・金融機関が資金を投入して
巨大企業に押し上げました。
もう一つの論点として気がかりなのが、
こうしたデジタル・エコノミーの世界的な流れに対して、
日本の産業界の認識が欠ける点です。
戦後、日本の産業界は
ホンダやソニーのように独自技術を磨き、
先行する欧米勢に追いつき、追い抜いきました。
現在のニューセブンシスターズは技術優位でなく、
ITと金融が膨らませたビジネスモデルに過ぎませんが、
世界の中で日本の産業界の存在感が後退しています。
今は「第4次産業革命」=「データリズム」の時代
と言われます。
つまり、
「データを支配するものがすべてを支配する」
ということです。
このような時代の変化に対応するには、
長期的展望による大胆で積極的な投資が必要です。
一度、寡占状態が作られてしまえば、
あとで投資をしてもその状況をひっくり返すのは
非常に難しくなります。
ですから、
「挙国一致」で取り組まなければいけません。
また、次世代を担う子どもたちは、
大きな「素地力」のもと、
算数・数学の勉強がますます重要度を増してきます。
そのことを、親や子どもはきちんと認識し、
積極的に学んでいく必要があります。