右脳開発でお子様の才能を開花
第206回 子どもが育つ環境にあるこれからの大きな落とし穴
今、Eコマースの巨人であるAmazonは、
さらにすごいことに取りかかっています。
「事前出荷」です。
これは、購入者が何を買うかを、
「実際に買う前に予測して」
配達時間を短縮するシステムで、
特許出願もしました。
言い換えれば、
購入のクリックが起きる前に
(結局起きなくても)、
概ねその方向にあるいは戸口まで、
商品を発送する仕組みです。
機械が自発的に他の機械から何かを買い、
それを第3の無人ロボットに
配達させるのです。
個々の事前出荷パッケージに対する
顧客の要求を見極め、
配送ルートを決定するための
分析に使用できるデータとして、
購入パターンの履歴、
アンケート等で明らかにされた好み、
年齢地理データ、ブラウジング習慣、
ほしい物リスト等が考えられます。
さらに同特許には、
「予想出荷」パッケージを
目的地に届けるための様々なシナリオや、
潜在顧客までの距離に基づき
経路変更する方法等も
詳しく書かれています。
時として同特許の文言は、
あたかもAmazonが物理的商品の配達を、
水道や電気を家庭に供給する
公共事業のごとく考えているように
聞こえます。
確かに、パッケージの予測出荷によって、
在庫のより高度でタイムリーな管理が
可能になる場合があります。
例えば、実際に注文される前に
商品を潜在顧客に向けて
移動することもできます。
一方で、当然想定されることですが、
もし需要予測アルゴリズムが失敗したとき、
Amazonは構わず商品を送る場合もあります。
例えば、まだ実際にクリックして
購入はしていなくても、
データ分析の結果、
それを大いに気に入る可能性の高い顧客への
「サプライズ」プレゼントとして
配送するのです。
これは、返送・経路変更のコストが
思っていた以上にかかってしまうぐらいなら、
プレ顧客への「サプライズ」プレゼントに
してしまったほうが、
Amazonにとって安く済む場合ですが、
アルゴリズムによっては、
不適切なものが届いてしまう可能性も
考えなければなりません。
かつて、米国においてAmazonは、
ワンクリック購入を特許化することによって、
Eコマース市場の膨大なシェアを
獲得する道を切り開きました。
これは、はるか前1999年のことですが、
それ以降、他のEコマース業者は
長年にわたって、この特許をライセンス
しなければなりませんでした。
そして、事前出荷は、
Amazonが再びオンライン購入プロセスを、
文字通り「次のレベル」に
引き上げる可能性を秘めています。
購入ボタンをクリックした数時間後数分後に
商品が届くとなれば、
それは良い意味でも悪い意味でも
「スゴイこと」です。
そして、将来それが現実になる可能性が
十分にあります。
ですから、Amazonユーザーは、
自分が何をほしい(物リストに入れる)かに
注意しておく必要があります。
これからの時代のビジネスの中心は、
「予測●●●……」になっていくと思います。
人間は、「何かが足りない……」から、
それを満たそうという強い欲求が出てきて、
行動をします。
欲求こそが人間の行動の原点です。
しかし、その欲求そのものが
起こる前に充足されてしまうという
社会システムが構築されてしまえば、
これはとんでもないことが起きます。
今まで、原因があって結果が起こるという
関係であったものが、
原因がなくて結果だけが起こる
というようなものです。
現在の世の中は、
すでに疑似体験の宝庫となっています。
バーチャルゲームをはじめ、
テレビやユーチューブなどの映像を
見ることも、すべて疑似体験です。
このような体験が大人になってから
始まるのと、幼児期から始まるのとでは
雲泥の差です。
幼児期は、きちんとした五感の発達を促し、
できるだけ多くの実体験をさせることが
必要なのです。
社会システムの発達に
身を任せてしまいながらの子育ては
危険です。
子ども自身がお金を数えたこともなく、
すべて決済をカードやスイカに任せていては、
正しい金銭感覚も生まれません。