右脳開発でお子様の才能を開花
【幼児教育の豆知識】ギフテッドとは? その特徴や才能、発達障害との違いについて徹底解説!
「ギフテッド」と聞くと、「常人にはない才能を持つ人」「天才」といったイメージを抱く人もいるでしょう。ギフテッドをテーマとした映画やドラマもあり、「小学生で大人も頭を抱える数学問題を解く」「一度読んだ本をすぐ覚えてしまう」など、一般からしたら驚異的な能力を持つ者として描かれています。
「そんなにすごい人ならめったにいないだろう」と考えがちですが、実は各国の人口のうち2~5%程度はギフテッドともいわれており、学年やクラスに何人かいるとしてもおかしくはありません。もしかしたら、自身の子どもがギフテッドの可能性もあるのです。
そこで今回はギフテッドの特性を深掘り。間違われやすい「発達障害」との違いや、才能をつぶさず開花させるための方法についても解説していきます。
Contents
ギフテッドとは
ギフテッドは、「神様から特別な才能を与えられた者」の意味。主に子どもに対して使用され、神様からの贈り物(gift)を持って生まれた、という存在とされています。
その概念が広まったのは主にアメリカで、早くも19世紀からギフテッドのための専門教育が行われ始めました。国力増強のためには、有能な人材を発掘し、教育していくことが重要と考えられたのです。
その後、他の先進諸国にもギフテッド教育は広まっていきます。日本では2023年より文部科学省が「特異な才能ある児童生徒支援」(※)を打ち出しました。今後、教育の現場や社会においてギフテッドへのさらなる理解が進められようとしています。
※参照 文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01512.html
ギフテッドの定義
日本においては公式の基準は設けられていませんが、早くからギフテッド教育に取り組んできたアメリカやヨーロッパにおいては、「IQ130以上」というのがギフテッドの基本的な判断基準となっています。ただ、IQテストだけでは測れない部分もあり、保護者や教職員の意見も聞きつつ判断されているようです。
1993年にアメリカ合衆国教育省から出された「National Excellence: A Case for Developing America’s Talent」においては、「同年齢や同じ環境にいる者よりも著しくレベルが高い成果を見せる子ども」「知性や創造性、芸術性がハイレベルであり、特定の学問分野やリーダーシップにも優れている」といった表現がされています(※)
つまりは、学問はもちろんですが、アートや人を統率する力など、さまざまな分野において並外れたパフォーマンスを見せる子どもを「ギフテッド」と呼んでいるのです。
※参照/「National Excellence: A Case for Developing America’s Talent」PDF
https://files.eric.ed.gov/fulltext/ED359743.pdf
ギフテッドが誕生する原因
各国において2~5%程度はいるとされるギフテッド。彼らは成長するにつれギフテッドになっていくのではなく、生まれながらその特性を持っているとされています。遺伝が大きく影響しているといわれ、父母、祖父母がギフテッドだと、子どももそうなる可能性が高いようです。
ただ、特性の発露は育つ環境や与えられる教育環境も大きく影響します。ギフテッドとして見いだされるには、その子に合わせた育て方が必要といえるでしょう。
ギフテッドの種類
ギフテッドには大きく分けて2種類の型があるとされています。それぞれの特徴についてみていきましょう。
英才型
あらゆる分野において高い能力を示すのが「英才型」と呼ばれるギフテッドです。国語、数学、理科、社会、英語、美術、体育などすべてにおいて群を抜いて成績優秀、もしくはそつなくこなすので、周囲からも一目置かれ、その才に見合った教育環境を与えられやすくなります。
また、社会性も兼ね備えており、日常生活をスムーズに送ることができます。著名人でいうと、マイクロソフト創始者のビル・ゲイツが英才型に近いといわれています。
2E型
もう一つのギフテッドのタイプが「2E型」、「二重に例外(twice-exceptional)」と呼ばれるもので、突出した能力を持つ一方、発達障害の特徴もあわせ持っています。
例えば、「数学は大人でも難しい分野が解けるのに読み書きは苦手」、といった場合や、「興味のあることに対しては非常に高い集中力を示すが、多動症があり他者との交流を苦手とする」など、得意不得意はさまざまな現れ方をします。
「発達に凹凸がある」と表されますが、どちらかというとマイナス面にスポットが当てられることも少なくありません。「発達障害」とだけ診断され、「ギフテッド」であることに本人も周囲も気が付かない、といったことも。
しかし、得意分野をうまく生かすことができれば、苦手を補いつつ社会で活躍することも可能です。アップル創始者のスティーブ・ジョブズ、XのCEOであるイーロン・マスクも2E型のギフテッドであり、いずれも自閉スペクトラム症(ASD)の特徴を持つといわれています。
ギフテッドの特徴と傾向
先天的な特性を持つギフテッドは、幼いころから同年齢の子どもとの違いを見せ始めます。それぞれの時期でどのような傾向がみられるのかをまとめました。
乳幼児期の特徴・傾向
言語習得の速さや記憶力のよさ、並外れた集中力、幼児らしくない大人びた言葉遣いなど、早ければ2、3歳ごろから親は子の特性に気づくでしょう。
幼児期の具体例
・3歳ごろには多数の単語を覚えて長文を話す
・個性的な絵を描く
・本や動画の内容をすぐに覚える
・長時間一つのものごとに集中する
・知能に言葉や運動神経などが追い付かずかんしゃくを起こす
ただ、まだ幼児期では「個性」であるとか「物覚えがいい」という認識で、ギフテッドであると考えない親も多いでしょう。
青少年期の特徴・傾向
小学校に入り学習が本格的に始まると、ギフテッドの特性が目立ちやすくなります。勉強の理解が早すぎて、ときに先生やクラスメイトとの間に摩擦が起きることも。
青少年期の具体例
・一度聞いた内容はすぐ理解する
・少しの説明で全体を理解する
・授業が簡単すぎて面白くない
・クラスメイトや先生に遠慮のない指摘や質問をする
・同学年の子どもとは会話の内容が合わない
先生から上記のようなことを指摘され、「わが子がギフテッドでは」と気が付くケースも。
成長するにつれ、クラスでリーダーシップを取っていくタイプのギフテッドもいますが、逆に周囲との違いに悩み、次第に学校から足が遠ざかってしまう子どももいます。
成年期の特徴・傾向
大人になっても、ギフテッドの特性はなくなることはありません。自身の能力をうまく生かすことができれば、社会の中で大きな役割を果たすことができます。
成年期の具体例
・頭の回転が速く、会話がスピーディ
・好奇心が旺盛で意欲的に学ぶ
・常に判断が早く、正確
・職場のリーダーとして活躍
このような特性により活躍しているギフテッドがいる一方、児童期から引き続いて周囲との差を埋めることができず、人付き合いに困難を抱えているケースも見受けられます。
周囲より光り輝く能力があるがゆえに、影(悩み)も抱えるギフテッド。次章は、その悩みにフォーカスしていきます。
ギフテッドが抱える主な悩み
知能が高く、秀でた点を持っているにもかかわらず、日常で問題を抱えるギフテッドたち。幼児期から成人以降まで、ギフテッドにありがちな悩みをピックアップし、その原因を解説します。
学校の授業がつまらない
ものごとの理解が早く、記憶力も優れているギフテッドの子どもにとっては、学校の通常授業は進行が遅く、おもしろみがないものに。特に、計算や漢字の書き取りを繰り返し行うドリルを苦痛に思う子も多いようです。
当てられていないのに答えを言ったり、質問を繰り返して授業を中断してしまったりと、先生にとって扱いづらい存在になることも。落ちこぼれならぬ〝浮きこぼれ〟状態になってしまうのです。
得意なことと苦手なことの差が激しい
特に2E型のギフテッドは、得意分野はずば抜けているものの苦手な分野はとことん苦手。教科間の差だけではなく、勉強はできるけれど人間関係を築くのが困難、といったこともあります。努力すればすぐ治るというものではないので、その差に長く悩んでしまう場合も。
友だちとうまくつきあえない
自分のやりたいこと、興味のあることに集中しがちで、周囲と合わせるのが苦手なギフテッドも。さらに大人びた考えや話し方をするため、同い年の子どもの会話がつまらなく感じてしまいます。結果的に、クラスメイトなどとうまく関われない、という問題が出てきてしまうのです。
周りから理解してもらえない
過集中やコミュニケーションの不器用さ、苦手分野などについて周りから指摘される、また自分自身でも認識して悩むギフテッドもいます。ただ、いずれも先天的な特性なので、どうすればよいのかわからないまま自分の殻に閉じこもってしまうということも。
鋭すぎる感覚で周囲から浮いてしまう
ギフテッドの中には、「過度激動」といって過剰に興奮したり反応したりしてしまう性質を持つ子どももいます。
たとえば臭いや味、音、光に敏感なギフテッドは、スーパーなど騒がしい場所ではすぐ疲れてしまうそう。想像力が人より過剰に働く場合は、さまざまな状況において起こり得ないような悪い結果を想像してしまうといったこともあります。
これらの過敏な感覚により、集団の中で浮いてしまったり、人とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、ということが起こってくるのです。
こうした悩みが募ると、不登校やうつといった症状にもつながっていきます。それを防ぐには、ギフテッドが自分らしく過ごせる環境を整えてあげることが大切です。
ギフテッドと発達障害の違い
ギフテッドと発達障害には共通する特性もあります。それゆえ、発達障害のみの診断をされてしまうギフテッドも少なくありません。その場合、必要がない投薬治療を受けることになる、という可能性も。改めて、両者の共通点、相違点を確認しておきましょう。
発達障害との共通点と相違点
まずはギフテッドと自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)といった発達障害との共通点をみていきましょう。
共通点
● 感覚過敏(過度激動)
● 過集中、または集中できない
● ものごとへのこだわりが強い
これらは主な共通点です。そもそも、2E型のギフテッドは発達障害もあわせ持っているため、こられの特徴は出やすくなります。そのため、ギフテッドであると気が付かれないことも多いのです。逆に、優れた点が非常に目立つ場合、発達障害であることが無視されてしまう場合もあります。
一方で、発達障害にはあまり見られないギフテッドの特性もあります。
相違点
● リーダーシップを取れる
世界的企業のCEOの例にもあるように、ギフテッドは人を指導したりまとめたりすることが問題なく行えます。
● 周囲の感情に敏感
発達障害では、周囲の感情や雰囲気を察することが難しいケースが多く見られますが、ギフテッドにおいては逆に、非常に繊細に感じ取るという特性があります。
● 論理的思考ができる
ものごとを論理的に考え、それを周囲に説明することができます。
● 広く興味を持つ
自分のこだわりが強く、そのルーチンが崩れることを嫌うのが発達障害の子どもたち。ギフテッドもこだわりは強いのですがコントロールが可能で、興味・関心を抱く範囲が広いと言えます。
● 体を動かすことが苦手ではない
ときに発達障害の子どもはDCD(発達性協調運動障害)を併せ持ち、器用に体を動かすことができないことも。その点、ギフテッドはスポーツもそつなくこなします。
ただ、ギフテッドも発達障害も多様な特性があり、上記が一概に当てはまるとは限りません。いずれにしても保護者だけで決めつけることなく、専門家の判断を仰ぐことが不可欠です。
サヴァン症候群との違い
「サヴァン症候群」も、ギフテッドと混同される特性のひとつです。サヴァン症候群は医学的に正式な症状名ではなく、発達障害、知的障害者の一部に見られる「特定の分野において非常に特異な能力」を持つ人を指します。
その能力は主に記憶力やアート、計算といった分野で発揮され、
・特定地域の地名や風景を全部覚える
・聞いた曲をすぐ演奏できる
などの例があります。日本では画家の山下清がサヴァン症候群だったのではと言われています。
一般的に知能指数が130以上とされるギフテッドに対し、サヴァン症候群は比較的知能指数が低い知的障害者、発達障害の人に見られることが多く、特に、自閉スペクトラム症の男性に多いとされています。
また、ギフテッドが先天性に限られるのに対し、サヴァン症候群は先天性のほか事故などによる後天的な要因により発症する場合もあります。ただ、そのしくみはまだはっきりと解明されていません。
ギフテッドの子どもへの関わり方
大多数の子どもとは異なる性質を持つギフテッド。家庭はもちろん学校においても、その特性に合わせた関わり方が重要となってきます。
興味のあることにおいては制限を設けない
自分の興味関心のあることについては、とことん追求したいのがギフテッド。それを制限されることは大きなストレスとなります。学校生活においてはタイムスケジュールがあるため難しいですが、家庭や習い事などで思い切り打ち込める時間を設けてあげるとよいでしょう。
さまざまな体験ができる機会を作る
幼いころからなるべく多彩な体験ができるように気を配ってあげることも大切です。ギフテッドは関心がある分野とない分野、得意な分野とそうではない分野の差が大きいことが多く、さまざまな体験をすることで向き不向きを知ることができます。それにより、自身で苦手なことに備えたり、真に才能を発揮できる分野に気づいたりすることもできるのです。
その子の特性に合った学習環境を整えてあげる
ギフテッドでも、2E型の場合は発達障害の傾向がさまざまに出ることもあります。それをサポートしてもらえるような学習環境を整えることが必要です。学校側への相談をはじめ、フリースクール、通信教育やオンライン授業の活用も検討してみましょう。
家庭内において安心できる居場所を作ってあげる
コミュニケーションが苦手なギフテッドの場合、学校ではクラスメイトや先生とうまくなじめない場合も。その精神的負担を解消できるよう、家庭ではのびのびとリラックスして過ごせる環境を整えてあげることが肝要です。
好きなことを追求できるようにしてあげることのほか、十分に会話を行い、本人の思いや考えを受け止めてあげましょう。
まとめ
子どもをしっかりと見つめ、特性に合わせたサポートをすることが大切
ギフテッド、と聞くと「すごい才能を持っていてうらやましい」と感じるかもしれません。ただ、本人としては周囲との違いに苦しみ、その才能をコンプレックスとして感じてしまうことさえあります。それを防ぐためには、特性を生かし、苦手をサポートする環境が必要不可欠です。
アメリカなどでは、ギフテッドのための教育を行う私立校、公立校は複数ありますが、日本のギフテッド教育はまだスタートを切ったばかり。取り組む学校もわずかです。
ただ、「日本ギフティッド協会」など、民間でその対策に取り組む団体も存在しています。そういったところからの情報発信も参考にしつつ、ギフテッド同士の横のつながりを作っていくとよいでしょう。
「あなたは一人ではない」「あなたの特性はすばらしいもの」ということを本人に伝え理解してもらうことができれば、その才能を存分に開花させていくことができるでしょう。
ヘーグルの右脳開発をもっと知りたい方はこちら
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株式会社ヘーグル 代表
「波動読み」を世界で初めて開発。小学校受験 中学受験、高校受験、大学受験生の指導経験もあり、 幅広い経験の中で醸成される幼児からの右脳教育プログラムは、奥が深く、確実に成果の出るものとして絶賛されている。
【執筆者】逸見 宙偉子(へんみ るいこ)
株式会社ヘーグル 代表
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