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幼児教育の豆知識

【幼児教育の豆知識】上手な子どもの叱り方とは? 子どもを伸ばす叱り方について徹底解説!

上手な子どもの叱り方とは

子育ての上で、「叱る」ことは避けられないもの。当たり前の行為ではあるものの、子どもを叱ると親も大なり小なり心理的負担を受けます。泣いているわが子を見て、「私の叱り方って大丈夫?」「子どもに悪影響では?」と不安になってしまうことも。
今回は、そんな「叱り方」を深掘り。真に子どものためになる「叱るコツ」をまとめました。「日々叱ってばかりで疲れる…」というお父さんお母さんは、ぜひ参考にしてくださいね。

そもそも「叱る」ってどういうこと?

「叱る」ということの意味、何のために叱るのかをまずは知っておきましょう。

「怒る」と「叱る」はどう違う?

「お母さんに怒られた」というように、しばしば「叱る」は「怒る」と言い換えられることがあります。辞書を引いてみても、「怒る」の意味に「叱る」と表記があるものも。しかし、厳密にいうと両者の意味は異なります。
「怒る」は、腹立たしい感情を相手にぶつけること。「こんなことをされた」「~してくれない」などと相手を非難し、攻撃的な感情を抱いている状況です。
一方で「叱る」は、相手を正しい方向へ導くための行為。過ちを指摘し、繰り返さないように教えさとすことです。自分のいら立ちを発散するためではなく、「相手がよい方向へ向くように思いやる心」からの行為を指すのです。
子どもを「叱る」のはもちろん、まっすぐに正しい方向へ育ってほしいからですよね。ただ、日々しつけをする中でついイライラを子どもにぶつけて、「叱る」が「怒る」になってしまうこともあるのではないでしょうか。
それが重なると、子どもに「親がこわい」「ピリピリした雰囲気を避けたい」というその場しのぎの気持ちしか抱かせず、心理的にマイナスの影響を与えてしまう結果にもなりかねません。子どもがすくすく伸びていくためには、「怒る」ではなく正しく「叱る」ことが必要なのです。

子どもを叱らないといけない3つの理由

「叱らない育児」というワードも耳にします。「あまり叱ると、子どもによくない影響があるのでは」と考える人もいるようです。しかし、子どもを適切に叱ることは、その成長においてとても重要なことなのです。子どもを叱らねばならない主な理由を3つにしぼり、解説していきます。
① 身の危険を避けるため
落ちたらケガをする高所に登ろうとする、道路を確認せず渡ろうとする、台所の包丁を勝手に触ろうとする、など、一歩間違えれば子どもがケガをする、命の危険があるというようなときには、きっぱりと叱らねばなりません。

② 他人を傷つける行為を防ぐため
友だちをたたく、悪口を言うなど、他者の心身を傷つける行為をしたときも、きちんと叱ることが必要です。小さいからと親があやまってすませてしまうのはNGです。「何があっても他者を傷つけることはしてはいけない」ということをき然として伝えましょう。

③ 社会や家庭のルールを教えるため
公共の場で騒ぐ、順番を守らないなど、社会の一員としてふさわしくない行為をしたときも、親が叱ってルールを教えてあげなくてはなりません。「まだ言ってもわからない」と放置しておくと、のちのち困るのは子どもです。
また、「夕飯時はスマホを見ない」「ゲームは1日1時間まで」など、各家庭においてのルールを破ったときもきちんと叱りましょう。一貫性を持って叱ることで、子どもも親の方針を理解しやすくなります。

上記3点は、子どもが理解できていないと危険な目にあったり、社会でうまく生きていけなくなったり、生きていくうえで根本的な問題を抱えてしまいます。そのようなことから子どもを守るために、親の「叱る」という行為が必要なのです。
逆に、上記3点についてしっかりと叱るようにしていれば、そのほかの細かいことはそれほど厳しく叱らなくてもいいとも言えます。

上手な子どもの叱り方8つのポイント

子どもの成長のためには、「叱る」ことが必要。しかし、どんな叱り方をしてもいい、というわけではありません。間違った叱り方は子どもを間違った方向に導きます。そうならないよう、8つの「上手な叱り方」のポイントを押さえておきましょう。

感情的にならず冷静に

多くの親御さんがやってしまうのが、「イライラしてつい大声でどなってしまった」という叱り方ではないでしょうか。「何度言っても繰り返す」「一日中叱ってばかより」だと、つい感情的になってしまうこともあるでしょう。
親も人間、たまにこうした叱り方があるのも仕方ないのですが、それが常時になる、またはエスカレートして体罰を与えるということになると、本来の「叱る」意味から外れて、子どもに「怒り」をぶつけることになってしまいます。
怒声や体罰は子どもを恐怖で支配し、それから逃れたいため一時的に言うことを聞くものの、「なぜダメなのか」の本当の理由は理解できない場合があります。そうした恐怖での支配が続けば、親子間の溝が深まるだけではなく、子ども自身も他者に同様の対応をする恐れもあります。
「最近イライラしやすい」と思ったら、ひと呼吸おいて落ち着くように心がけましょう。子ども自身や他者に危険がある場合はすぐその場から離れることが大切ですが、危険がないときは親が別室に移るなどして、自身の気持ちが整ってから話をするのもいいでしょう。

子どもの気持ちに寄り添う

理由も聞かずに「ダメでしょ!」と頭ごなしに叱っていませんか。それでは子どもは反発するのみ。まずは、子どもの気持ちに共感し、寄り添うことが大切です。
宿題の時間になってもゲームを続けているなら、「ゲームはやめなさい!」と取り上げるのではなく、「ゲーム楽しいよね、もっとやりたいのはわかる」といったん共感してあげるのです。
「でも、宿題をすると決めた時間だよね。がんばってやってしまおうか。早く終わらせたら残りの時間で続きをしてもいいよ」
このように自分の気持ちを理解してもらえたと感じると、子どもも親の言うことを素直に受け入れやすくなります。
やってはいけないのは、「言うことを聞かないとゲームを捨てるよ!」といった脅しの叱り方。脅しでは子どもを屈服させることができたとしても真に納得した状態にはなりません。さらに、「実際は捨てない」とわかると全く効果がなくなるばかりか、「ウソで言うことを聞かせようとしている」と親への信頼も失ってしまいます。

叱る理由をきちんと伝える

 
叱るときは、「なぜ叱っているのか」をきちんと伝えることも重要です。「ダメ!」「やめなさい!」だけでは、どうしてダメなのかがわからず、また同じ行為を繰り返しかねません。
幼い子どもでも、「ここに乗ったらケガをして危ないよ」「お友だちの髪をひっぱったら痛いからダメよ」と、簡単な言葉で話してあげてください。繰り返し話すうちに、だんだんと理解できるようになっていきます。
子どもが理解できたか心配な場合は、「今度こういうことがあったらどうしたらいい?」などとたずね、自身の言葉で解決策を話してもらうようにするといいでしょう。

しっかり目を見て叱る

「いつまでも遊んでないで宿題をしなさい」と、親がソファでスマホを見ながら言ったとしたら、子どもは言うことを聞くでしょうか。「ながら」の叱り方ではおそらく、効果はうすいでしょう。
子どもを叱るときは、目で真剣さを伝えることが重要です。子どもと向き合いしっかり目を見つめて話すことで、「これは大切なことなんだ」ということを子どもも理解できます。
ただ、上から見下ろす形で話すと威圧感を与えてしまいます。子どもと同じ目線にかがんで、静かに話して聞かせるようにしましょう。

長々と叱らず、切り替える

 
イライラするとつい長時間小言を言ってしまう、ということはないでしょうか。しかし、「叱る時間」=「子どもの理解度」ではありません。逆に、長々と叱られるといったい何について言われているのかわからなくなり、子どもにとってただ苦痛なだけの時間になってしまう場合も。
叱るときは「短く端的に」を心掛けましょう。伝えるべきことをきちんと伝えたら、そのあとは親がイライラを引きずらないこと。いつまでもピリピリしたムードでいたり、子どもの言葉を無視したりしてはいけません。
叱った後は「このお話はおしまい」というようにさっと切り替えましょう。

ほかの子どもと絶対に比べない

「〇〇くんはきちんとできているのに」など、ほかの子どもと比較する叱り方は避けましょう。
親としては他の子どもの成長度合いが気になり、「どうしてうちの子は」と思うのも仕方のないことではあります。友だちを引き合いに出すことで、ライバル心を抱き奮起してくれるのでは、と考えてしまうのです。
しかし、子どもは大好きな親から「ほかの子のほうが~」といわれると、大きなショックを受けてしまいます。「自分はダメな子」と思い込み、自信をなくしてしまうかもしれません。
子どもにはそれぞれ個性があり成長スピードも異なります。比べるのであれば、過去のわが子と比較して「できるようになったこと」「まだ途中のこと」としてとらえ、今後どうすればいいのかを話し合いましょう。

「子ども」ではなく「行動」を叱る

「何度言ってもいうことを聞けないなんて、バカじゃないの」
「あなたなんてどうせ何もできないんだから」
このように、子どもの存在全体を否定するような言葉や態度は自信を失わせ、自己肯定感を損なう原因となってしまいます。
悪いのは「子どものその時の行い」であって「子ども自身」ではない、ということを、親は常に覚えておかねばなりません。それさえ肝に銘じておけば、愛を持った叱り方ができるはずです。
子どもがショックを受けているようであれば、「〇〇ちゃんが大切だから、いけないことをしてほしくないの。ママはもう怒っていないよ」など、フォローの声掛けやスキンシップをとるようにするといいですね。

改善したら必ず褒める

会社の上司が小言しか言わなければ、仕事へのやる気は出るでしょうか。実績を出した部分はほめてくれた方が「がんばろう」と思えますよね。子どもも同様です。言った通りにきちんとできたら大いに褒めてあげましょう。
たとえ完璧にできなくても、少しでも前進した部分、できている部分は見逃さずに褒めること。遊びの終了時間を守れなくても、「以前は10分オーバーしていたのに、今日は5分すぎただけだね」「自分でお片付けを始めて偉いね」といった声掛けをするのです。
子どもは親に褒められることを喜び、「次は時間通りにしたらもっと褒めてくれるはず」と考え行動するようになります。
しつけをしっかりしなければ、と思うと、つい子どものダメなところばかり目に留まってしまうかもしれません。しかし、「叱る」以上にたっぷり「褒める」ことが、子どもの心の栄養になる、ということを忘れずにいたいものです。

年齢別に見る子どもの叱り方のポイント

上手な叱り方について解説してきましたが、どの年齢の子どもにも一律に同じ叱り方でいい、というわけではありません。1歳児と小学生では、理解度も大きく異なります。年齢に合わせた適切な叱り方をすることで、子どもにも親の意図を理解してもらいやすくなります。

0~1歳児の叱り方

まだ言葉を十分に理解できない0~1歳児。でも、「まだわからないから」と叱らなくてもいいというわけではありません。短い言葉で「ダメ」が伝わるように叱りましょう。
「これは触ると熱いよ!アッチッチ!」と手が痛い様子をして見せるなど、表情やしぐさをつけるとわかりやすいことも。
また、触られたくないものはあらかじめしまっておくなど、「無駄に叱らなくてもいい環境づくり」を心掛けることもポイントです。

2~3歳児の叱り方

イヤイヤ期に差し掛かる2歳児には、その自己主張をいったん受け止めた上での叱り方が必要になります。
「もっと遊びたかったんだね」「これがほしかったんだね」など、子どもの気持ちを代弁しつつ、ダメな理由を一言で伝えましょう。
3歳ごろになると、大人の言っていることがかなり理解できるようになってきます。叱るときには具体的な理由を添えて、
「このおもちゃがほしかったんだね。でも、これは〇〇くんのだよ。自分のものじゃないのは勝手にとってはいけないよ」
というように、できるだけ子どもにわかりやすい言葉で短く伝えましょう。

4~6歳児の叱り方

徐々に社会性が身につき始める4歳ごろ。「おもちゃを取ったら〇〇くんは悲しいって思うよ」などと、相手の気持ちを考えるような叱り方を取り入れていきましょう。
「〇〇ちゃんは~できていない」というのではなく、「お母さんは、〇〇ちゃんが~してくれると助かる」など、自身の思いを主体とした「アイ・メッセージ」での叱り方も、子どもに伝わりやすいのでおすすめです。
5歳をすぎるとさらに社会性が成長し、道徳心や思いやりの心も大きく育っていきます。「どうしてダメだったと思う?」など、子ども自身が理由を考えるように親がサポートしてあげましょう。
5,6歳はプライドも高くなってきて人の目を気にするようになるので、叱るときは友だちや兄弟の前は避けるのがベターです。

小学生の叱り方

小学生に対しては、子どもの言い分を聞き、ものごとの是非や善悪が理解できているかを確認しながら叱るようにしましょう。かなり理解力がアップしたとはいえ、未熟な部分も多いもの。叱られる原因が根本的にわかっていないこともあります。
行動や考えの間違いを正し、今後はどうすればいいのかを自分で考えさせるようにしましょう。
反抗期に差し掛かる高学年では、上から目線で叱られることに対して反発を覚えます。子ども扱いするのではなく、一人の人間として向き合い、真剣に伝えることが大切です。

中学生の叱り方

思春期で複雑な感情を持つようになる中学生。親に対しての反発が激しくなることも。子どもの言動を頭から否定する、また親の考えを押し付けようとするのは逆効果です。
一方的に指導するのではなく、大人同士として話し合って解決法を見いだす姿勢を持つようにするといいですね。「このことについてどう思っている?」と子どもの意見を聞き、親の思いはアイ・メッセージで素直に伝えます。
子どもの自主性を重んじ、過度な干渉は控えて。しかし、放っておくというのではなく常に見守り、𠮟るべきところはき然として叱るようにしましょう。

まとめ

子どもを叱るには普段からの信頼関係が大切

上手な叱り方について解説してきましたが、その前提として重要なことがあります。それは「親子の信頼関係」です。
日頃から一緒に遊んだり、笑いあったり、お世話をしてくれたり、自分に愛情を注いでくれている親だからこそ、「叱られる」ことを子どもは受け入れられます。真剣に自分のためを思って言ってくれている、と思えるのです。
普段からよく会話をして、子どもがなんでも相談できる親子関係を築きましょう。直してほしいところばかり見るのではなく、小さな成長も認めともに喜び、しっかりと愛情を伝えてあげること。そうすれば、叱る言葉にも愛情が感じられるはずです。

上手な叱り方で、子どもの可能性を最大限に伸ばしていこう

子どもが成長するにつれてぶつかる問題も複雑になり、親も叱り方に頭を悩ませることがあるかもしれません。「親だから私がなんとかしなければ」と構えると、つい意見を押し付けてしまいがちに。親も子とともに考え、一緒に成長していくという気持ちを持てばいいのです。
どんなときも、「叱ることは、子どもの成長をサポートするため」ということを忘れず、その時々の子どもと向き合っていきましょう。そうすれば、子どもはいつしか自分でよりよい方へ向かおうとするようになっていくはずです。

 

逸見理代表
【執筆者】逸見 宙偉子 (へんみ るいこ)
株式会社ヘーグル 代表

「波動読み」を世界で初めて開発。小学校受験 中学受験、高校受験、大学受験生の指導経験もあり、 幅広い経験の中で醸成される幼児からの右脳教育プログラムは、奥が深く、確実に成果の出るものとして絶賛されている。
逸見代表
【執筆者】逸見 宙偉子(へんみ るいこ)
株式会社ヘーグル 代表

「波動読み」を世界で初めて開発。小学校受験 中学受験、高校受験、大学受験生の指導経験もあり、 幅広い経験の中で醸成される幼児からの右脳教育プログラムは、奥が深く、確実に成果の出るものとして絶賛されている。

 

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