右脳開発でお子様の才能を開花
第46回 選別化教育の限界
ある特定の分野で成功する人には、
いくつかの共通点があると マルコム・グラッドウェルは
「天才!」(講談社)の中で言っています。
その一つが、特定の技能を磨くためには
「1万時間」が必要であるということです。
専門的な技能を極めるために必要なすべてのことを
脳が取り込むためには、それだけの時間や量が
必要だというのです。
(壱萬会の秘密にもつながっているのかも知れません)
このことは、本人が本当に好きなことでないと
続けられないということを意味します。
半強制的にやらされていては、長続きはしません。
もう一つ重要なことは、
「成功は社会やシステムによって与えられる
アドバンテージ」によるものだということです。
カナダのアイスホッケー界の鉄則は、
全選手のデータを集めたところ、
1月生まれの選手が最も多く、次に2月、3月
という順番になったそうです。
カナダでは、単に同じ年齢の少年を集めて
クラスを作る場合、年齢を区切る期日を「1月1日」に
しているからです。
つまり、9歳、10歳でアイスホッケーを始める子どもが多く、
1月生まれの子と、12月生まれの子とでは、
非常に大きな差が生まれます。
このアドバンテージが最後まで有効に働きます。
一度、上位についた子は、
少し秀でる
↓
選手としてかわいがられる
↓
代表メンバーに選ばれる
↓
より多い指導や練習時間が与えられる
↓
ますます上手くなる
という好循環になります。
ところが、一旦中位、下位につくと、この反対に
少し遅れる
↓
選手としては無視される
↓
メンバーにも選ばれない
↓
ますます練習する機会や指導を受ける機会が減る
↓
なかなか上達しない
という悪循環に陥ります。
こう考えてくると、子どもを早いうちから
ある一定のモノサシで選別していくというのは、
得策でない気がします。
早いうちから選別の洗礼を浴びて、
好循環のサイクルに行く子は、ほんのごく一部であり、
デメリットの方が大きいのです。
学力世界一のフィンランドでは、十六歳まで、
他人と比較するテストも競争もさせないそうです。
それは、全体を引き上げるという観点からすれば、
上位の者だけに得られるアドバンテージを与えず、
また、中位、下位といった者に早くから敗北感も
与えないという「真の平等」の考え方から来るものですし、
国家を発展させ、豊かにする方法を知っているからです。
日本の教育も、幼稚園、小学校から選別化が始まります。
そのメリットとデメリットを冷静に考える必要があります。