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子育ての知恵ぶろぐ

子育ての知恵ぶろぐ 第342回 「第三次中学受験ブーム」に潜む最も切実な問題とは

「第三次中学受験ブーム」に潜む最も切実な問題とは世界のトップレベルのコンサルティング会社
「マッキンゼー・アンド・カンパニー」の
元グローバルパートナーで
世界最大の慈善財団
「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の
元中国代表:李一諾さんは、
SNSで教育や女性問題について発言し、
フォロワーは230万人以上で
13歳以下3児の母親でもあります。

彼女は、2023年国際女性デーにちなみ、
世界の理系分野で活躍する
女性7人に贈られたバービー人形の
モデルの一人でもあります。

中国のトップ大学、清華大学で学び、
UCLAで生物博士号も
取得している彼女は、
この春から子ども3人を連れて
東京大学に訪問留学しています。

李さんは、都内の受験塾の多さ、
塾の過酷さに驚いた
と言います。

以下の文は、
「FNNプライムオンライン」からの引用です。

「「日本は先進国。途上国と違い
社会保障がいきわたっている。
そして少子化で、すでに入学希望者数が
入学定員を下回る状態だ。
つまりほとんど誰でも大学に行ける、
そしていけなくても衣食住に心配はない。
本来なら日本の子どもは
伸び伸びと暮らしているかと思ったら、
東京での中学受験の過熱ぶりに驚いた

「東京の最新の中学入試の受験率が
17.8%と聞いた。
まだ2割以下かと思うかもしれないが、
これは非常に高い数字だ。
どの先進国でも小中の私立の割合は
10%以下。
フィンランドは2%、米英も大体10%以下。
しかもその多くは受験の必要がない、
宗教系の学校だ。
東京の17.8%はショッキングな数字

「この数字は、公的教育が
崩壊していることの表れだ。」

受験勉強は子どもの成長によくない、
これは世界中の教育学者、
これまでの教育研究でわかりきったことだ。
受験勉強は子どもを壊す。
日本は資源のない国で、
最大の資源が人であることは
政府も識者もわかっているはずなのに、
受験という巨大マーケットを野放ししている。
非常に残念
だ」

では、それは東洋の親に
よくみられることではないか、
と聞いたら、
「これは“焦る親”の問題ではない。
親を責めてはいけない。
これはシステムの問題。
政府の監督の問題である。
もっと公立教育に力をいれるべき

と強く訴えた。

彼女は、日本の過酷な
中学受験の現状を強く憂いています。

彼女が生まれた中国では、
2021年7月24日に「塾禁止令」

(「双減」と言われ、
学生の宿題の負担及び
学習塾負担の軽減を目指す)
の「政策」を施行し、
2023年2月には124,000社あった
実店舗型の学習塾は9,728社に
激減しました。

哲学者:カントはこのように述べています。

■教育には2つの障害がある。

1. 両親が一般に子どもが
出世することだけを気にかけること

2. 君主が臣民を自分の意図のための
  道具のようにしか見ないということである。

と言っています。

「子どもに競争をさせると
一生不幸になる…わが子を
塾に通わせている人に伝えたい
哲学者カントの言葉」

と言っているのは独トリア大学付属
カント研究所研究員の秋元康隆氏です。

親から学業の成績ばかりを求められ、
いわば親のメンツをかけた
「親の身代わり受験戦士」
に仕立てられた子ども
は、
いつも周りのことを
過度に気にするようになります。

「第三次中学受験ブーム」
と言われている現代においては、
この忠告には素直に耳を傾けた方が
よさそうです。

このような子育ての裏側に潜む危険は、
自分をコントロールしようとしている人間
(母親や父親)の支配下にあるうちは
無批判に従うことができるかもしれませんが、
その呪縛は徐々に、確実に
解けていってしまうという事実です。

完全に解けてしまうと、
そのあとには拠り所がなく、
自分が何のために生きているのか
自分でもわからない、
心に傷を負った一個の人間が
たたずんでいるだけ
になってしまうのです。

どうしてこのようなことになってしまうのか?

その答えは、カントの表現で言うと、
「人間というのは、誰かの手段として
存在しているのではなく、
目的それ自体として存在している」

ということなのです。

もっと詳しく言うと、
「両親は、子供の教育に際して
他人の子供に負けないようにと
競争させることによって、
我が子をよい行いに向かわせようとは
しないように注意しなければならない。
この注意を怠れば、
我が子のうちに悪意ある羨望が生じ、
競争の模範として
示された者を恨むようになり、
その相手を罠にかけようとするように
なるからである」

つまり、カントは物差しを
常に自分自身のうちに置くことが重要
で、
競争は対他者への意識を先行させ、
自分自身の中身がないものとなり、
自己充実がなされないまま
大人になってしまうのです。

このような現象をカントは「他律」といって、
他人によって律せられることに
警鐘を鳴らしています。

先ほどカントが述べていたように、
競争の中で嫌悪の感情が芽生え、
やがて「人間の素質」に関わり、

他人と比較されると、
比較対象に対して容易に嫉妬、
忘恩、他人の不幸を喜ぶ気持ちを
抱いてしまうようになります。

そうなると、そのような感情の方が
本人の実力よりも上回り、
いつまでたっても「自律」していくことが
難しくなってしまう
のです。

今一度、今の子育ての根っこを
見つめ直す時なのかもしれません。

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