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【ここだけの子育て成功術~厳選セレクト vol.43】子どもが「嘘」をついたら PART4・5
嘘には、「方便」という
もう一つの側面があります。
相手の状況をよく考えて、
真実をそのまま伝えるよりも、
嘘になっても
違う言い方をした方が
かえってその人のためになる
という場合、
それは方便ということに
なります。
方便となる嘘の奥には、
相手に対する
深い思いやりの心があります。
以前こんなことがありました。
小3の国語の授業のなかで、
「嘘をつくのは悪いことだけど、
ついていい嘘もあるんだよ。
それを方便と言うんだよ」
という話をしたら、
「じゃあ、先生、
これはどうなの?
お母さんが作ってくれたお弁当を
全部食べきれなかった時に、
友達にそのおかずを
食べてもらったの。
お母さんには、
とてもおいしかったよ、
ごちそうさま、と言って、
空になったお弁当箱を渡したら、
お母さんはにっこり笑ったの。
こんな時の嘘は、
ついていい嘘なの?」
と、訊かれました。
このとき私は、
「子どもって、
大人が考えているよりも
深く物事を考えているんだなあ」
とつくづく思いました。
確かに、たとえ嘘であっても、
それで相手が喜ぶのなら、
原則としてはいいと
思うのです…。
あなたなら、どう答えますか?
この答えは、簡単なようで
結構難しいのです。
そのとき、私はこう答え、
その子と一緒に考えました。
「お母さんを
喜ばせるためにつく嘘は、
いいと思うよ。
でももし、お友達が
お母さんに本当のことを
話しちゃったら、
お母さんはどう思うかなあ?
寂しくならないかなあ?」
「そうだね…寂しくなるかも…」
「じゃあ、どうしたらいいと思う?」
「う~~~ん、そうだなあ…」
「お弁当のおかずを
お友達にあげるのは、
1回や2回ならいいと思うけど、
毎回だったらどうだろう?
いつも食べきれないなら、
どうして全部食べられないのか
理由をきちんと話して、
量を減らしてもらうとか、
どうしても食べられないおかずを
他のおかずに変えてもらうとか、
お母さんに相談した方が、
お母さんにとっても
いいんじゃない?」
「そうだね、それがいいかも
しれないね!」
大事なのは、
・一つの嘘から、人の気持ちが
いろいろと場面や時間とともに
変化していくということ
・嘘にもいろいろな種類があること
・嘘をつくことは、
単に良い悪いではなく、
人が気持ちよく生きていく上で
必要な場合もあるし、また、
使い方もきちんと考えて
いかなければならないこと
・自分のしたことは、
必ずめぐりめぐって
自分に返ってくるものだと
いうこと
これらを前提に、
相手の身になって一緒に考え、
深めていくのがいいのです。
決して、答えは一つだけでは
ありません。
いろいろな考えが出てきたときに、
それを安易に否定せず、
そのような発想から
どのような展開が起こるかを
数多く考えることが、
人間をより深く見ることの
できる力を養うことにも
なるのです。
そして、親と子は
・「嘘をついてごめんね」
と素直に言える関係
・お互い本当のことを
言い合える関係
であることが最も大切です。
いちばんいけないのは、
お互いが嘘をつき合う
関係になってしまうことです。
そうなると、本当のことが
言えなくなってしまい、
やがて、鎧を着た人間同士の
関係になってしまいます。
一つの「嘘をつく」ということから、
親も子も大きな学びの
きっかけになるものだ、
ということに気づいてもらえれば
幸いです。